
まず初めに!今回の旅(日本 → インド)について
【ルート紹介】1ヶ月半でインドを巡る!”人が多くてウザい!なのになぜか心惹かれる国”を女子ひとり旅_#88
事の始まりは
それはインド旅初日のことで、JLN stadium駅でメトロを降りてフマユーン廟へ向かう道すがら、たまたま目が合ったインド人に声を掛けられたことが始まり。
彼はトゥクトゥクのオーナーらしく、車をフマユーン廟の近くに停めているとのことだったので、話しがてら一緒に歩くことに。
入口付近に着くと「帰る時にトゥクトゥクが必要だったら電話して」と言われ、正直、星の数ほどトゥクトゥクが走るデリーでそんな必要はないと思いつつも、無下に断るのも悪いのでスマホを渡して番号を入力してもらいました。
フマユーン廟をゆっくりと見て回っていたらもうすっかり夕暮れ時。1日中歩き回って、もはやメトロ駅まで歩く気力もない。トゥクトゥクを拾って繁華街のコンノートプレイスでさっと夕食を取って宿に帰ろう。
そんなことを考えつつ、ごった返すフマユーン廟の出口から少し離れてトゥクトゥクを探そうとしたところ、そこにはあのインド人が。
ちょうど良いタイミングだったのでコンノートプレイスまでの金額を聞いてみると、インド人価格のR50でいいらしい。面識のないドライバーならばおそらくR300くらいから始まるので、値引き交渉をすっ飛ばしてコンノートプレイスへ。
インドにはいつまで滞在するのか聞かれ、1ヶ月半かけて南インドの方にも行く予定であることを伝えると「それならインドレイルパス(Indrail Pass)を使うといい」と教えてくれました。
インドレイルパスは日数に応じて料金が変わる鉄道チケット。期間内は何回乗車しても同料金で、列車の変更も無料のフレキシブルなチケットだよ〜
「コンノートプレイスの観光案内所で詳しく聞いてみるといい」と言われ、まもなくその案内所とやらに到着。運賃のR50を払うとそれ以上を求めることもなく「この辺はひったくりに気をつけて。場所を確認する時は、スマホじゃなくて案内所で貰える地図が良いよ。」と言い残し、颯爽と去っていきました。
まだ旅の初日だけど、インドには親切な人がいるものだ。せっかくだから夕食前に話だけでも聞いてみるかとそのまま観光案内所へ入ってみることに。
コンノートプレイスの ”観光案内所”

インフォメーションマークを掲げた観光案内所には、いくつかのブースがあり、他にも数人の観光客の姿がありました。
対応してくれたのは英語が流暢なインド人。マップが欲しいことを伝えると、デリー全体の観光名所がプリントされたモノクロマップを手に取り、ついでに名所もひとつずつ紹介してくれました。
とにかくお喋りなそのインド人。どこから来たの?いつまでインドにいるの?と私の話を聞きつつ、自分の話も止まらない。
要約すると、英語が流暢なのは海外の大学を出たからで、親の勧めで就職したが、自分の人生を生きたいからと仕事を辞め、今はカシミール地方のシュリーナガル(Srinagar)という町にゲストハウスを建設中らしい。話を聞く限り、ある程度の富裕層。
身上話を終えて我に帰ったのか「他に何か手伝えることは?」と聞かれたので、インドレイルパスについて知りたいと伝えたところ、呼んできたのはシャルマさんという名前のインド人。日本に10年以上住んでいたらしく、中々流暢に日本語を話す人。
インドレイルパス(Indrail Pass)
真っ新な紙を取り出して「デリーの次はどこに行く?」から始まり、私が訪れる予定の街を聞き取ってはせっせと書き留め、滞在日数まで勝手に決めてくれるシャルマさん。
日本人を熟知する彼は「朝一に到着して次の日の夕方に出発すれば、1泊で2日分観光できるでしょ?」といった具合に無駄のない予定を組もうとします。
私はガチガチに予定を組む旅はしませんが、何も決めない行き当たりばったりの旅もしません。そもそも目的があってその地を訪れるわけなので、日本を出る前にルートと滞在日数くらいは考えます。ただ、予定なんてすぐに変わるので、日数に余裕を持ってあくまでざっくりと。
それから忙しない旅がそもそも好きではないことも伝え、日数を修正しつつ、デリー → アムリトサル → デリー → アグラ → バラナシ → ブッダガヤ → コルカタまで約2週間をかけるルートで、乗車日も決定。その後は南インドに行くためにおそらく飛行機も使うので、ここまで決まればとりあえず問題なし。
これでいくらになるかと聞くと、シャルマさんはWikipediaのインドレイルパスのページを開いて何やらチェックを始め、電卓で弾き出した金額は(正確な額は忘れたものの)約R35,000=約6万円。そしてこのパス、なぜか4日分の宿泊(個室)も付いてくるらしい。
それにしても想像以上だった高額に対して「宿泊はいらないからもっと安くして」とか、あれやこれやと注文を付けた結果、約R29,000=約5万円に下がり、1泊分の追加、出来るだけ高いクラスの座席を取ることを条件にパスを購入することに。
発車の2日前の夜までに連絡すれば列車は変更可能、また、列車チケットと宿泊バウチャーはPDFにしてLINEで送るとのことで、シャルマさんとLINE交換して終了。気付けば案内所には1時間以上も滞在していました。

”パス” のからくり
Wikipediaを見れば一目瞭然、インドレイルパスは2017年に廃止されています。
そもそもこのパスは「予約不要で期間中に何回でも乗車できる」もので仕組みも異なります。観光案内所の ”インドレイルパス” は、おそらくシャルマさんがインド鉄道(IRCTC)の公式サイトなどでチケットを購入し、変更依頼があればキャンセルして買い直しているものと思われ、いわば誰でも手配可能。
私が払った金額は、15days(Midクラス)で185USD=3万円弱、宿泊先が1泊4〜5,000円、合計で約5万円といった計算になるでしょうか。ちなみに自ら購入していれば、デリー〜コルカタは約1.5万円で移動できました。
”パス” を購入した本音は?
このからくりに完全に気付いたのは購入の数日後で、案内所では何も疑問を抱かなかったのか?と言われれば嘘になりますが、正直なところ、次のことが ”インドレイルパス” を購入するに至らせました。
1つ目は、日本出国前にチケット購入アプリ(ixigo)をダウンロードしたものの、購入にはIRCTCのアカウント登録が必要、その登録にはSMSでのメッセージ受信が必要、そのSMSはインドの電話番号でないと届かないといった具合に一癖も二癖もあってシンプルには購入できず、ダウンロードして以来、放置していたこと。
2つ目は、ちょうどデリーに入った時期(2025年2月)は盛大なヒンドゥー教の沐浴祭り「クンブ・メーラ」がバラナシ周辺で1ヶ月半に渡って開催されており、大勢の人が北インドを移動中でバラナシ発着のチケットを取るのは困難と言われたこと。実際にixigoを確認しても、既にsold outの列車が多かったこと。
3つ目は、 ”インドレイルパス” を今までに購入した日本人は沢山いるとLINEのやり取りを見せてくれて、そこでは実際にチケットの受け渡しも行われており、パスを利用している人が確かにいるのを確認できたこと。
要約すれば、
①自分でチケット購入するには至らない準備不足
②想定外の祭りでチケットが思うように取れない不安
③日本人の利用実績がそれなりにある安心感
これらが ”インドレイルパス” を購入しても良いかもという結論に至った理由。
案内所にいた時点でその翌々日には次の街に出たかったこともあり、ここで任せてしまえば楽だし、多分大丈夫という楽観的な考えもあり、そして5万円という金額はもちろん安くはないけれど最悪どうにでもなる絶妙な金額でもありました。

”観光案内所” に再び出向く
デリー → アムリトサルのチケットは観光案内所を後にしてまもなくLINEに届いたものの、乗車当日に車両と座席情報が空欄であることに気付き、どこに乗ればいいのかと連絡するとすぐに回答がありました。若者並みに早いのがシャルマさんのレスポンス。
”インドレイルパス” のからくりに気付いたのはアムリトサルへ向かう途中で、デリーに戻ったら案内所に出向こうと決めていました。これはいわゆる詐欺の一種なのだろう。我々の繋がりはLINEのみで、音信不通になってしまえば5万円をドブに捨てるも同然なので、デリーを去る前に必要な情報を入手しておこうと。
デリーに戻った翌日。午前中に案内所へ行くと、観光客は誰もおらずスタッフが休憩時間の如く過ごしていました。シャルマさんもいて「アムリトサルはどうだった?」といった話に始まり、家族のことや日本のことを話したり、また、他のスタッフとも話に花が咲いて気付けばもうお昼時。
「みんなでランチするから一緒に食べてく?」と誘ってきたり、話をしている時にもチャイやら水やらを勧めてきたり、そんな彼らと触れ合っていると本当に詐欺集団なのか?といった気分に駆られる始末。
いやいや、今日ここに来た目的は必要な情報を入手するため!とチケットの話を持ちかけると「今渡せるのは、列車チケット(ブッダガヤ → コルカタ)と宿泊バウチャーだけ」で、他の区間は列車時刻は教えられるがチケットはまだ渡せないらしい。
それから私が多少なりとも疑っていることを察したのか「他の区間は後でちゃんと送るから心配しないで」と言い残したシャルマさん。
”パス” を購入した結果はいかに!?
シャルマさんの言葉通り、(乗車前日に催促したこともありましたが)最終的にチケットはすべて送られてきました。
購入時に約束した通り、高いクラスの座席だったこともあったし、寝台列車ならば最上段のシート、座席車ならば窓際のシート、長距離移動ならばオプションの食事が付いていたりと列車旅を快適にする配慮もあり、これは実際に列車を知るインド人だからこそできる配慮であったような気がします。
5泊分の宿泊先(バラナシ、ブッダガヤ)は、日本人も満足する綺麗な宿!とシャルマさんのお墨付きでしたが、確かに広くて清潔で朝食付き。
バラナシの宿はヨガのプロが経営しており、中心部の喧騒から少し離れた落ち着いたエリアでループトップからは雄大なガンジス川を一望でき、ブッダガヤの宿は大菩提寺に近く、日本人と結婚して日本に移住した兄から受け継いだという2人の弟が経営しており、これまた居心地の良い宿でした。
ただ、どちらもオンライン予約できる宿ではなく、1泊4〜5,000円するかは定かではないものの、インド旅を終えた肌感覚では、3〜4,000円が妥当と思われます。

詐欺とは何か?を考えてみる
結局のところ、この観光案内所を「詐欺」の一言で片付けて良いものなのだろうか。
そう考えてしまったのは、そもそも自分で出来ないことや面倒なことを代行してもらうには、サービス料がかかるものだから。旅行会社のガイド付き海外ツアーなんかが良い例で、すべてを任せて参加するだけで良いというメリットがある裏で、個人手配よりも遥かに高い金額を払う必要があります。
日本のサービスに比べると丁寧さには欠けるものの、案内所を詐欺に分類してしまえば、こうしたツアーでさえも詐欺の一種になり得るのではと思ってしまったから。
そもそも案内所では ”インドレイルパス” を公式なものとは発言しておらず、Wikipediaのページもそれとなく存在を示唆しただけで、信頼できるものと思い込ませるためのパフォーマンス。入口に掲げた「インフォメーションマーク」もただのデザインとすれば問題ないのだろう。
ただ、こうやって表現するとますます詐欺の手口に思えてくることは否めませんが、私の中では ”サービス料を取りすぎる旅行代理店” くらいなネーミングの方がしっくりくるような。金だけ取って行方をくらますのではなく、仕事は最後までまっとうするのだから。
14億人を抱えるインドでサバイブするには、手を替え品を替えて金稼ぎのアイデアを生み出すことは必要不可欠。そう考えると、彼らは観光客の金銭感覚のズレを利用して上手く商売をしているようにさえ思えてきます。
そういえば、最近のインドでは劇場型詐欺が横行しているらしい。劇場型詐欺とは、複数の詐欺師がチームを組み、シナリオに沿って役割を演じ分けながら被害者を段階的に信用させる手口。もしかしたら、フマユーン廟でトゥクトゥクのドライバーに会った時から、既に劇は始まっていた?
その答えはもう知る由もありません。
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