事前に知れば旅をもっと楽しめる!「古代エジプト」とは?「エジプト神話」とは?_#93

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古代エジプトとは?

古代エジプト王朝

B.C.
(期間)
時代
(王朝)
有名な王
(ファラオ)
3100〜2686
(414年)
初期王朝時代
(第1〜2)
ナルメル
2686〜2181
(505年)
古王国時代
(第3〜6)
クフ
カフラー
メンカウラー
2181〜2055
(126年)
第1中間期時代
(第7〜10)
2055〜1650
(405年)
中王国時代
(第11〜12)
メンチュヘテプ2世
1650〜1550
(100年)
第2中間期時代
(第13〜17)
1550〜1069
(481年)
新王国時代
(第18〜20)
ハトシェプスト
トトメス3世
ツタンカーメン
ラメセス2世
1069〜664
(405年)
第3中間期時代
(第21〜26)
664〜332
(332年)
末期王朝時代
(第27〜31)
332〜30
(302年)
プトレマイオス王朝時代
(マケドニア〜プトレマイオス)
クレオパトラ
MEMO

古王国時代  首都 メンフィス
・国家の大プロジェクトであるピラミッド建設が盛んに行われた
・黄金期の第4王朝には「ギザの三大ピラミッド」が建設された

中王国時代  首都 テーベ(現在のルクソール
・第1中間期の混乱を経て、エジプトが再統一された
・”死と復活の神” オシリスの信仰が広まり、葬祭が大衆化した

新王国時代  首都 テーベ(現在のルクソール)
・最大の領土と経済力を有したとされる ”古代エジプトの最盛期”
・この時代の建造物は(一部は世界遺産として)現在も多く残されている

プトレマイオス王朝時代  首都 アレクサンドリア
・共和政ローマ(ローマ帝国の前身)に吸収されるまで続いた ”古代エジプト最後の王朝”
・王朝が残した「ロゼッタ・ストーン」は古代エジプト語(ヒエログリフ)解読のきっかけとなった

エジプト神話とは?

自然の恵みや災いが、良くも悪くも人々の生活を大きく左右した古代。

人間の力を超えた自然現象や天体は ”神” として崇められ、人々は神に祈ることで助けやアドバイスを求めたため、神の存在は文化や宗教儀式に多大な影響を与えました。

そんな当時の世界観や死生観を垣間見れるため、古代エジプトを語る上で欠かせないのがエジプト神話。古代エジプトには少なくとも約1,500もの神々が存在したとされ、エジプト神話はそんな神々のエピソードを集めたものです。

最も重要なエピソード:創世神話

「この世界が神々によってどのように創られたか」を表現したのが創世神話。

エジプト神話における最も重要なエピソードですが、エジプトでは日本のようにひとつの神話に統一されておらず、地域によって独自性のある創世神話が存在します。

  ヘリオポリス神話(Heliopolis)
  メンフィス神話(Menphis)
  ヘルモポリス神話(Hermopolis)
  テーベ神話(Thebes)

この中で一般的な神話として取り上げられることが多いのは、ヘリオポリスの創世神話。

ヘリオポリス九柱神(きゅうちゅうしん)と呼ばれる9人の神が登場し、世界の始まりを次のように表現しています。

原初にはヌン(Nun)と呼ばれる水(ナイル川)があり、そこから現れた原初の丘に ”創造の神” アトゥム(Atum)が降り立ちます。

男女両性を兼ね備えたアトゥムから生まれるのが、
 ”大気の神” シュー(Shu)
 ”湿気の女神” テフヌト(Tefnut)

やがて2人は夫婦となり、そこから生まれるのが、
 ”大地の神” ゲブ(Geb)
 ”天空の女神” ヌト(Nut)

ゲブ(地)とヌト(天)は仲の良過ぎる夫婦であったため、それを見兼ねたシュー(大気)が2人を引き離したことで天と地が生まれ、太陽の通り道ができたとされます。

また余談ですが、古代エジプトでは地震は ”ゲブの笑い” と考えられたそう。

さらにこの2人から生まれるのが、
 ”穀物の神” オシリス(Osiris)
 ”豊穣の女神” イシス(Isis)
 ”戦争の神” セト(Set)
 ”葬祭の女神” ネフティス(Neftis)

やがてこの4人は2組の夫婦となり、オシリス神話と呼ばれるエピソードを残すことになります。

以上が、ヘリオポリスにおける創世神話の概要。

ちなみに、 ”創造の神” アトゥムはのちに、太陽崇拝によって絶大な人気を得た ”太陽神” ラー(Ra)に取り込まれる形で習合し、ラー・アトゥム(Ra-Atum)としてラーと同一視されるようになります。

有名なエピソード:オシリス神話

エジプト神話の中でも有名なエピソードであるオシリス神話は、創世神話でゲブとヌトから生まれた4兄弟(オシリス・イシス・セト・ネフティス)が繰り広げる物語。

長男のオシリスは長女イシスと結婚し、2人の間には ”天空の神” ホルス(Horus)が生まれます。また、オシリスは ”太陽神” ラー(Ra)から王位を譲り受け、人望の厚い王として長らくエジプトを統治しました。

一方、次男のセトは次女のネフティスと結婚しましたが、実はネフティスはオシリスに想いを寄せており、不倫の末にオシリスとの間に ”ミイラ作りの神” アヌビス(Anubis)が生まれます。

王位継承による嫉妬やネフティスの不倫を知ったことでオシリスとの仲が険悪になったセトは、王位を奪うことを考えた結果、オシリスを殺害してバラバラにした遺体をエジプト中にばら撒いてしまうのです。

妻であるイシスはそんなオシリスの体を拾い集め、包帯で巻いたミイラのような姿にして生命を蘇らせる儀式を行いますが、オシリスは現世に留まることはできずにあの世(冥界)で復活します。

王位を奪うことを目的とするセトは息子であるホルスの殺害も企み、セトとホルスの間には戦いが繰り広げられましたが、最終的にはホルスが勝利。父であるオシリスより ”地上の王位” を譲り受け、一方でオシリスは ”冥界の王” となりました。

以上が、オシリス神話の概要。

このエピソードから、初期王朝時代の王(ファラオ)は ”ホルスの化身” と名乗ることで絶対的な権力を手にしました。いわゆる、現人神(あらひとがみ)と位置付けられたのです。

古王国時代になると、オシリスの力を借りることでファラオも同じようにあの世で復活して永遠に生きられると信じられるようになり、オシリスは ”死と復活の神” として葬祭儀式での存在感を増していきます。

そして、オシリス信仰とともに生まれたのが死者をミイラにする習慣。古王国時代は、死後に復活できるのはファラオのみと考えられていましたが、そのうちに多くの庶民も復活を願うようになり、ミイラにして埋葬することが大衆化したのです。

最も重要な神: ”太陽神” ラー

古代エジプトには多くの神々が存在しましたが、その中でも ”太陽神” ラー(Ra)は最も重要な神。

農耕や狩猟に依存した古代の生活には太陽が大きな影響を及ぼしたことから太陽崇拝は古くから行われており、ラーは古代エジプト以前から既に存在していたそうです。

古王国時代にその人気が絶大なものとなったことでヘリオポリスを中心に最高神として崇められ、エジプト全土へ人気が広がることになります。

地域によって信仰される神は変わるものですが、ラーはエジプト全土でいつの時代も信仰を集めた珍しい存在。また、人気を集めただけあり、様々な神との習合が見られるのも特徴です。

MEMO

ラー・ホルアクティ: ”天空の神” ホルスと習合
ラー・アトゥム: ”創造の神” アトゥムと習合
アメン・ラー: ”テーベの守護神” アメンと習合
アテン・ラー: ”太陽神” アテンと習合

オシリス神話にも登場した ”天空の神” ホルスですが、彼には同名で2つの異なる役割が存在します。ラーの息子(太陽神)としての大ホルスと、オシリスとイシスの息子(地上の王)としての小ホルス

ラーと習合するホルアクティは大ホルスを指し、初期王朝時代のファラオが名乗った ”ホルスの化身” というのは小ホルスを指します。

古王国時代になると、 ”創造の神” アトゥムも吸収されるほどにラーが絶大な人気を集め、ファラオはその人気にあやかる方が統治しやすいと考えた結果、 ”ラーの息子” と名乗るようになります。

中王国時代に首都がテーベに移り、その土地の守護神であったアメンの存在感が増すと、今度は ”アメンの息子” と名乗るように。

そして、新王国時代にはラーはアメンに吸収されて、アメン・ラー(Amen-Ra)は末期王朝時代に至るまで約1,700年に渡って崇拝されることになります。

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